ドイツ語A1は、文法を完璧にする段階ではありません。まずは、生活でよく出る場面で「短く、はっきり、最低限伝える」ことを目指します。

このルートでは、買い物、電話、予約、病院、役所など、ドイツ生活で困りやすい順番に表現を練習します。日本語話者がドイツで生活を始めたときに、最初に覚えるべき実用フレーズを中心にしています。

このルートのゴール

このルートのゴールは、A1の文法をすべて終えることではありません。生活で必要な場面に対して、次のようなことができる状態を目指します。

  • 短い文で希望、質問、困っていることを伝えられる
  • 相手の返答をすべて理解できなくても、聞き返せる
  • 買い物、電話、病院、役所でよく出る語彙に慣れる
  • メールやチャットで、短い依頼文を書ける
  • 事前に用意したフレーズを実際の場面で使える
  • A2やB1に進む前の「生活の土台」を作れる

A1の段階では、「自然なドイツ語を自由に話す」よりも、「決まった場面で止まらない」ことを優先します。

向いている人

このルートは、次のような人に向いています。

  • ドイツ語を始めたばかりの人
  • ドイツに来たばかりで、生活上の会話に不安がある人
  • 文法書だけでは、実際に何を言えばよいかわからない人
  • 買い物、病院、役所、電話で毎回緊張する人
  • A1教材を進めながら、実用フレーズも並行して覚えたい人
  • A2に進む前に、生活場面を整理したい人

逆に、試験対策だけをしたい場合は、このルートだけでは不十分です。試験対策には、文法、読解、聞き取り、作文、模擬問題を別に組み合わせてください。

A1で優先する考え方

A1では、細かいニュアンスよりも、まず「伝わる形」を作ります。

完璧な文より、短く安全な文

最初は長い文を作ろうとしなくてよいです。

例:

ドイツ語日本語
Ich möchte einen Termin.予約を取りたいです。
Ich habe eine Frage.質問があります。
Ich verstehe das nicht.それがわかりません。
Können Sie das bitte wiederholen?もう一度言っていただけますか?
Können Sie das bitte aufschreiben?それを書いていただけますか?

A1では、このような短い文を確実に使えるようにするほうが、難しい文法を無理に使うより効果的です。

場面ごとに覚える

単語だけを暗記するより、「どこで使うか」と一緒に覚えます。

  • スーパーで使う表現
  • 電話で聞き返す表現
  • 病院で症状を言う表現
  • 役所で書類について聞く表現
  • メールで依頼する表現

生活で使う順番に覚えると、記憶に残りやすくなります。

まず覚えたい基本フレーズ

どの場面でも使える土台のフレーズです。

ドイツ語日本語
Entschuldigung.すみません。
Ich habe eine Frage.質問があります。
Ich spreche nur ein bisschen Deutsch.ドイツ語は少しだけ話せます。
Können Sie bitte langsam sprechen?ゆっくり話していただけますか?
Können Sie das bitte wiederholen?もう一度言っていただけますか?
Können Sie das bitte aufschreiben?書いていただけますか?
Ich verstehe das nicht.それがわかりません。
Was bedeutet das?それはどういう意味ですか?
Ich möchte ......したいです。
Ich brauche ......が必要です。

この10文は、買い物、病院、役所、電話のどこでも使えます。最初にまとめて音読しておくと、他の記事に進みやすくなります。

読む順番

1. 買い物で使うドイツ語

最初は、失敗してもリスクが低い買い物から始めます。スーパー、薬局、パン屋、レジで使う短い表現に慣れます。

読む記事:

練習すること:

  • 商品の場所を聞く
  • 値段を確認する
  • 袋が必要か答える
  • カード払い・現金払いを言う
  • 聞き取れないときに聞き返す

例:

ドイツ語日本語
Wo finde ich Milch?牛乳はどこにありますか?
Ich zahle mit Karte.カードで払います。
Eine Tüte, bitte.袋を1枚お願いします。

買い物表現は短く、繰り返し使えるため、A1の最初に向いています。

2. 電話でよく使うドイツ語

電話は、A1学習者にとってかなり難しい場面です。相手の表情が見えず、聞き返しにくいためです。最初は「聞き返す」「ゆっくり話してもらう」「メールに切り替える」表現を優先します。

読む記事:

練習すること:

  • 名前を言う
  • 用件を短く伝える
  • 聞き返す
  • メールで送ってもらう
  • 電話を終える

例:

ドイツ語日本語
Mein Name ist ...私の名前は...です。
Ich rufe wegen eines Termins an.予約の件で電話しています。
Können Sie mir das bitte per E-Mail schicken?それをメールで送っていただけますか?

電話では、すべてを理解しようとしなくてよいです。重要なのは、わからないときに止められることです。

3. 予約を取りたいときのドイツ語

病院、美容室、役所、修理業者など、ドイツ生活では予約が必要な場面が多くあります。A1では、予約の希望、日時の確認、変更、キャンセルの基本表現を覚えます。

読む記事:

練習すること:

  • 予約を取りたいと言う
  • 空いている日時を聞く
  • 日時を確認する
  • 予約を変更する
  • 予約をキャンセルする

例:

ドイツ語日本語
Ich hätte gern einen Termin.予約を取りたいです。
Haben Sie nächste Woche einen Termin frei?来週空いている予約はありますか?
Passt Montag um 10 Uhr?月曜10時で大丈夫ですか?

予約表現は、電話記事とセットで読むと効果的です。

4. 病院予約の電話で使うドイツ語

病院は、生活上の優先度が高い場面です。ただし、医療内容そのものをA1で正確に説明するのは難しいため、まずは「予約を取る」「症状を短く言う」「急ぎかどうかを伝える」ことに絞ります。

読む記事:

練習すること:

  • Hausarzt、Kinderarzt、Zahnarztなどを区別する
  • 症状を短く伝える
  • 保険の種類を言う
  • 急ぎかどうかを伝える
  • わからないときに聞き返す

例:

ドイツ語日本語
Ich bin gesetzlich versichert.公的保険に加入しています。
Ich habe Schmerzen.痛みがあります。
Es ist dringend.急ぎです。

医療に関する判断は、フレーズ暗記だけで行わないでください。緊急時は救急・医療機関の指示を優先します。

5. 役所・Anmeldungで使うドイツ語

役所では、必要書類、予約、番号、窓口、証明書などの語彙が出てきます。A1では、難しい説明よりも「書類があるか」「何が不足しているか」「どこへ行けばよいか」を聞けるようにします。

読む記事:

練習すること:

  • 住民登録をしたいと言う
  • 必要書類を確認する
  • 書類が不足しているか聞く
  • どの窓口か聞く
  • 証明書を受け取る

例:

ドイツ語日本語
Ich möchte meinen Wohnsitz anmelden.住所を登録したいです。
Welche Unterlagen brauche ich?どの書類が必要ですか?
Fehlt noch etwas?まだ何か足りませんか?

役所では、聞き取れなかった内容をその場で書いてもらうことも重要です。

6. 住まい・大家への連絡

住まいのトラブルは、ドイツ語で説明しにくい場面です。A1では、電話よりもメールやチャットで短く書く練習が現実的です。

読む記事:

練習すること:

  • 故障を伝える
  • 修理を依頼する
  • 写真を添付すると伝える
  • 返事をお願いする
  • 日程調整をする

例:

ドイツ語日本語
Die Heizung funktioniert nicht.暖房が動きません。
Können Sie das bitte reparieren lassen?修理を手配していただけますか?
Ich schicke Ihnen ein Foto.写真を送ります。

住まいの連絡は、記録が残るメールのほうが安全な場合があります。

4週間の進め方

1週目:買い物と基本フレーズ

目標:

  • 毎日10分、基本フレーズを音読する
  • 買い物表現を覚える
  • 実際の買い物で1つだけ使う

やること:

  • 買い物記事を読む
  • 使う文を5つ選ぶ
  • スマホにメモする
  • スーパーで1文だけ使う

2週目:電話と予約

目標:

  • 電話で使う定型文を覚える
  • 予約の取り方を練習する
  • 聞き返し表現を反射的に言えるようにする

やること:

  • 電話記事を読む
  • 予約記事を読む
  • 自分の名前、用件、希望日時を言う練習をする
  • 可能なら音声メモに録音する

3週目:病院と役所

目標:

  • 症状や必要書類を短く伝える
  • 「わからない」「書いてください」と言える
  • 重要な場面で止まらない

やること:

  • 病院記事を読む
  • 役所記事を読む
  • 自分の状況に近い文を3つ作る
  • 印刷またはスマホメモに保存する

4週目:メール・チャットで生活文を作る

目標:

  • 短い依頼メールを書ける
  • 添削アプリや言語交換で自然さを確認する
  • A2やB1の学習に進む準備をする

やること:

  • 大家・住まいの記事を読む
  • HelloTalkやTandemで1文添削してもらう
  • DW・Nicos WegやDuolingoで基礎復習を続ける

1日15分の学習ルーティン

A1では、長時間よりも毎日の反復が重要です。

5分:音読

今日使う表現を3〜5文だけ音読します。発音が完璧でなくても、口を動かすことを優先します。

5分:自分の状況に置き換える

記事の例文を、自分の名前、住んでいる町、必要な用事に置き換えます。

例:

元の文置き換え
Ich hätte gern einen Termin.Ich hätte gern einen Termin beim Hausarzt.
Ich habe eine Frage.Ich habe eine Frage zur Anmeldung.

5分:実際に使う準備

スマホに保存する、紙に書く、音声で録音するなど、実際の場面ですぐ見られる形にします。

A1で覚えたい文法の最小セット

このルートでは文法を深く扱いませんが、次の文型は優先して覚えると便利です。

文型用途
Ich möchte ...Ich möchte einen Termin.希望を伝える
Ich brauche ...Ich brauche eine Bescheinigung.必要なものを伝える
Ich habe ...Ich habe eine Frage.状況を伝える
Können Sie ...?Können Sie das wiederholen?丁寧に依頼する
Wo ist ...?Wo ist die Kasse?場所を聞く
Wann ist ...?Wann ist der Termin?時間を聞く

A1では、この6つを生活場面に当てはめるだけでもかなり使えます。

よくある失敗

単語だけ覚える

単語だけでは、実際の場面で使いにくいです。必ず短い文で覚えてください。

例:

  • Termin だけでなく、Ich hätte gern einen Termin.
  • Frage だけでなく、Ich habe eine Frage.
  • Unterlagen だけでなく、Welche Unterlagen brauche ich?

長い文を作ろうとする

A1では、長い文より短い文を2つに分けるほうが安全です。

悪い例:

Ich möchte wissen, ob ich vielleicht nächste Woche einen Termin bekommen kann, weil ich ein Problem habe.

簡単な例:

Ich hätte gern einen Termin. Haben Sie nächste Woche etwas frei?

聞き取れないのにそのまま進める

聞き取れないときは、必ず止めてください。

使う表現:

ドイツ語日本語
Entschuldigung, ich habe das nicht verstanden.すみません、理解できませんでした。
Können Sie das bitte wiederholen?もう一度言っていただけますか?
Können Sie das bitte langsamer sagen?もっとゆっくり言っていただけますか?
Können Sie das bitte aufschreiben?書いていただけますか?

使える教材・リソース

このルートと並行して使いやすい教材です。

独学だけで続かない場合は、VHSなどの講座を使い、J-Connectでは生活場面のフレーズを補う使い方が現実的です。

関連する生活ガイド

次に進むステップ

このルートで、買い物、電話、予約、病院、役所の基本表現に慣れたら、次はA2〜B1の生活ドイツ語に進みます。

次に読む記事:

A1の段階では、完璧に話せなくても問題ありません。重要なのは、生活で必要な場面を予測し、短い文を準備し、実際に使ってみることです。

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本記事はドイツ語学習の補助情報です。実際の会話やメールでは、相手・地域・状況に合わせて表現を調整してください。