ドイツでは、体調が悪いときにいつでも大病院へ直接行くのではなく、症状の緊急度と診療時間に応じて窓口を選ぶのが基本です。普段の相談はHausarzt、専門的な診療はFacharzt、時間外の急な症状は116117、生命に関わる緊急事態は112が目安になります。

初めてだと「どの診療科に電話するのか」「紹介状は必要か」「保険証だけでよいか」が分かりにくいため、この記事では医師探しから診察後までを一つの流れで整理します。

緊急時: 意識障害、強い胸痛、重い呼吸困難、大量出血、重篤な事故など、生命や重大な後遺症に関わる可能性がある場合は 112 へ連絡してください。この記事で自己判断を遅らせないでください。

まず窓口を選ぶ

この表は横にスクロールできます。表にフォーカスした後、左右の矢印キーでも内容を確認できます。

状況主な連絡先
日常的な不調、慢性疾患、最初の相談Hausarzt / Allgemeinmedizin発熱、咳、腹痛、腰痛、健康相談
特定領域の診療Facharzt皮膚科、眼科、整形外科、耳鼻科など
通常診療時間外で、翌日まで待ちにくいが生命の危険はない116117 / Bereitschaftsdienst夜間・休日の急な発熱や痛み
生命に関わる緊急事態112 / Notaufnahme意識障害、重い呼吸困難、重篤な外傷など
薬の使い方、処方薬・市販薬の相談ApothekeE-Rezept、服用方法、相互作用の確認

116117は救急番号112の代わりではありません。反対に、通常の診療で対応できる症状に救急外来を使うと、重症者が優先され長時間待つことがあります。公的健康情報ポータルgesund.bund.deも、緊急でない症状はHausarztや時間外診療を使うよう案内しています。

Hausarztとは

Hausarztは、日常的な健康問題の最初の相談先です。日本語では「かかりつけ医」「家庭医」に近く、診療所の表示では次の語が見られます。

  • Hausarzt / Hausärztin
  • Allgemeinmedizin
  • Innere Medizin(一般内科として診療する場合)
  • Hausärztliche Versorgung

Hausarztは症状を診察し、必要に応じて検査、薬の処方、就労不能証明、専門医への紹介を行います。持病、服薬、過去の検査結果を継続して把握してもらえることも利点です。

緊急時を除き、どこへ行くか迷ったときはHausarztへ相談すると次の行動を決めやすくなります。

Facharztと紹介状(Überweisung)

Facharztは、皮膚科、眼科、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科などの専門医です。多くの専門医へ直接予約できる場合もありますが、診療科や契約、検査内容によって Überweisung が必要です。

公的ポータルgesund.bund.deは、放射線診断、核医学、病理など一部の専門領域や病院の外来では通常、紹介が必要と説明しています。確実なのは、予約時に診療所へ確認することです。

使える質問:

Brauche ich eine Überweisung? 紹介状は必要ですか。

Benötige ich einen Vermittlungscode? 予約仲介コードは必要ですか。

医師を探す方法

1. 116117の医師検索

116117の医師・心理療法士検索では、所在地や診療領域から診療所を探せます。地域によっては、対応言語などで絞り込めます。

2. 健康保険会社の検索サービス

加入しているKrankenkasseが医師検索や予約支援を提供していることがあります。保険アプリ、会員ページ、電話窓口を確認します。

3. 診療所の公式サイト

候補を見つけたら、次を確認します。

  • nimmt neue Patienten auf:新規患者を受け付けているか
  • Terminsprechstunde:予約診療時間
  • Akutsprechstunde / offene Sprechstunde:急患・予約なし時間帯
  • gesetzlich / privat versichert:公的保険・民間保険の対応
  • Urlaub / Vertretung:休診と代診先
  • 対応言語
  • バリアフリー、エレベーター、ベビーカー対応

Google Mapsの営業時間だけで判断せず、診療所公式サイトや留守番電話の最新案内も確認してください。

予約時に伝える5項目

電話やオンライン予約では、次を短く伝えます。

  1. 新規患者か既存患者か
  2. gesetzlich versichertかprivat versichertか
  3. 主な症状と、いつからか
  4. 緊急性があるか
  5. 紹介状・Vermittlungscodeがあるか

例:

Guten Tag. Ich bin neu in der Praxis und gesetzlich versichert. Ich habe seit drei Tagen starke Halsschmerzen und Fieber. Haben Sie kurzfristig einen Termin? こんにちは。初診で、公的健康保険に入っています。3日前から強い喉の痛みと熱があります。近い日程で予約できますか。

症状を大げさにする必要はありませんが、seit wann(いつから)、wie stark(どの程度)、Fieber(発熱)、Schmerzen(痛み)など、優先度判断に必要な情報は伝えます。

詳しい表現は病院予約の電話で使うドイツ語電話でよく使うドイツ語にまとめています。

116117でできること

116117は、Kassenärztliche Vereinigungenの患者サービスです。主に次を提供しています。

  • 診療時間外の医療相談・Bereitschaftsdienst案内
  • 近くの時間外診療所検索
  • 医師・心理療法士検索
  • 公的保険加入者向けの予約サービス
  • 電話、ウェブ、アプリでのアクセス

時間外診療の電話は24時間利用できますが、116117の英語案内は、電話サービス自体はドイツ語のみと明記しています。電話前に、住所、症状、発症時期、保険情報をメモしてください。

専門医の予約では、診療科によって紹介状に記載されたVermittlungscodeが必要になることがあります。一方、すべての予約でコードが必要なわけではありません。116117の予約画面で条件を確認します。

予約日に持って行くもの

公的健康保険ではeGKが保険資格の基本的な証明です。カードが届いていない、紛失した、読み取れない場合は、受診前にKrankenkasseへ連絡し、代替証明の送付方法を確認します。

診療所に着いてからの流れ

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 受付で名前と予約時間を伝える
  2. eGKを提示する
  3. 初診票や同意書を記入する
  4. Wartezimmerで待つ
  5. 医師に症状、経過、服薬、アレルギーを説明する
  6. 診察・検査・治療方針の説明を受ける
  7. Rezept、Überweisung、AU、次回予約などを確認する

予約時間は診察開始の保証ではありません。急患対応などで待つことがあります。ただし、非常に長く待っている、別室へ移動した、呼び出しを聞き逃した可能性がある場合は受付へ確認します。

診察で必ず確認したいこと

診断名を完全に聞き取れなくても、次の5点を確認できれば、帰宅後の行動が分かります。

  • 何が疑われているか
  • 薬をいつ、どの量、何日使うか
  • 悪化したときの連絡先
  • 仕事・運動・運転を控える必要があるか
  • 再診・専門医・検査が必要か

例:

Wie soll ich das Medikament einnehmen? この薬はどのように服用しますか。

Wann soll ich wiederkommen? いつ再診すべきですか。

Bei welchen Symptomen soll ich sofort Hilfe holen? どの症状が出たら、すぐ助けを求めるべきですか。

IGeL・自己負担と言われたら

公的健康保険の患者に、保険給付外の個別健康サービス IGeL が提案されることがあります。緊急でない検査や追加サービスをその場で即決する必要はありません。

次を確認します。

  • 医学的に必要な保険給付か、任意の自費サービスか
  • 費用はいくらか
  • 代替手段はあるか
  • 実施しない場合の影響は何か
  • 書面の説明と見積もりをもらえるか

Ist das eine Kassenleistung oder eine Selbstzahlerleistung?(保険給付ですか、自費ですか)と聞けます。

E-Rezeptを薬局で受け取る

公的健康保険の処方薬は、原則としてE-Rezeptで処方されます。連邦保健省は、次の方法で薬局に提示できると案内しています。

  • eGKを薬局の端末で読み取る
  • 公式E-Rezeptアプリを使う
  • 対応する保険・薬局アプリを使う
  • 診療所でもらった紙のトークンを使う

薬が在庫切れなら、取り寄せ時間、同等品の可否、別の薬局で受け取れるかを確認します。薬局で使う表現は薬局・処方箋で使うドイツ語にまとめています。

病欠とeAU

医師が就労不能と判断すると、Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung(AU)が発行されます。公的保険のeAUでは、医師からKrankenkasseへ電子送信され、雇用主が保険者からデータを取得します。

ただし、従業員が雇用主へ病欠を連絡する義務まで自動化されたわけではありません。gesund.bund.deも、病欠した本人が雇用主へ速やかに知らせる必要があると案内しています。

民間保険、国外保険、一部の例外、技術障害では紙の提出が必要になる場合があります。診療所と勤務先のルールを確認してください。

キャンセル・遅刻・無断欠席を避ける

行けなくなったら、早めに診療所へ連絡します。オンラインでキャンセルできる場合もあります。

Ich muss meinen Termin am [日付] leider absagen. 残念ですが、[日付]の予約をキャンセルしなければなりません。

診療所によっては、事前説明のうえで無断欠席や直前キャンセルに費用を請求する場合があります。予約確認メールの条件を確認してください。

ドイツ語に不安がある場合

  • 症状、薬、アレルギーを短いドイツ語で事前に書く
  • 服用中の薬は箱や写真も持参する
  • 診療所へ対応言語を事前確認する
  • 通訳者の同伴可否を確認する
  • 翻訳アプリの使用許可を尋ねる
  • 数字、薬量、次回日程は書面でもらう

家族や知人が通訳する場合、医療用語とプライバシーの負担があります。重要な診断・同意・手術説明では、専門通訳の利用可否を医療機関へ相談してください。

よくある疑問

Hausarztを固定しなければいけませんか

一般には医師を選ぶ権利があります。ただし、健康保険のHausarztprogrammなど特別な契約へ参加している場合は、その契約条件を確認します。

予約なしで行けますか

offene SprechstundeAkutsprechstundeがある診療所もありますが、受付時間・対象患者・人数制限があります。事前に公式サイトまたは電話で確認します。

英語だけで受診できますか

英語対応の医師はいますが、受付を含めて必ず英語対応とは限りません。検索フィルターと診療所への事前確認を併用します。

救急外来へ直接行くべきか迷います

生命に関わる可能性があれば112です。緊急ではないが診療時間外に待てない場合は116117へ相談します。症状の程度をここで一律に判定することはできません。

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公式情報・参考ソース

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本記事は一般情報です。行政・税務・医療・保険などの条件は自治体、滞在資格、雇用状況、家族構成、申請時期により異なる場合があります。必ず公式窓口や専門家の最新情報を確認してください。