ドイツの住宅手当が2027年に見直しへ|2年ごとの引き上げを止め、暖房費の分を半分に
ドイツ政府は、家賃の負担を助ける住宅手当(Wohngeld)の法律を改正する案を連邦議会に出しました。2027年1月に予定されていた支給額の定期的な引き上げを見送り、暖房費の分を半分にする一方、収入の計算の手続きを簡単にする内容です。誰に関係するのか、何が変わるのか、連邦参議院の批判と今後の流れを整理します。
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ドイツ政府は、家賃の負担を助ける住宅手当(Wohngeld)の法律を改正する案を、連邦議会に出しました。2027年1月に予定されていた支給額の定期的な引き上げを見送り、暖房費の分を半分にする内容です。
このニュースでは、ドイツで暮らす方に向けて、住宅手当の改正案を整理します。住宅手当とはどんな制度で、誰に関係するのか、何が変わる案なのか、そして連邦参議院の批判や今後の流れが分かるはずです。
住宅手当とは?
住宅手当は、収入が少ない世帯の家賃(持ち家の場合は住居費)の負担を軽くするための、国と州の手当です。働いて収入があっても、家賃に比べて収入が少なければ受け取れることがあります。年金生活の人や、子どものいる家庭なども多く受け取っています。
いくらもらえるかは、世帯の人数、収入、家賃、そして住んでいる市町村の家賃の水準(Mietenstufe)によって決まります。申請は、住んでいる市町村の住宅手当の窓口(Wohngeldstelle)で行います。
何が変わる案なのか
連邦議会によると、政府案の主な内容は次のとおりです(連邦議会:連邦政府が住宅手当を見直し)。
この表は横にスクロールできます。表にフォーカスした後、左右の矢印キーでも内容を確認できます。
| 改正案の内容 | 意味 |
|---|---|
| 定期的な引き上げを見送る | 家賃や物価に合わせて2年ごとに支給額を見直す仕組みを、2027年は行わない |
| 暖房費の分を半分にする | 支給額に含まれている暖房費の分を半分にする |
| 計算式を変える | 収入の少ない世帯への影響をできるだけ小さくしながら、支出を抑える |
| 手続きを簡単にする | 収入の計算に所得税の一律の控除額を使うなど、確認の手間を減らす |
政府は、この見直しによって、国の支出が2027年に約11億5,600万ユーロ、2028年に約14億8,600万ユーロ減ると見込んでいます(同上)。2027年の国の予算を立て直す取り組みの一つです。
このほか、住んでいる市町村ごとの家賃の水準も、2027年1月1日から新しく決め直す案になっています(連邦議会印刷物 21/8284)。
受け取っている人への影響は?
今、住宅手当を受け取っている世帯にとっては、次のような影響が考えられます。
- 2027年に自動的に増えない:これまでの仕組みでは、2027年1月に、家賃や物価の上昇に合わせて支給額が見直される予定でした。この見直しが行われなければ、家賃や光熱費が上がっても、住宅手当は増えないことになります。
- 暖房費の分が減る:支給額に含まれる暖房費の分が半分になれば、世帯によっては支給額が下がる可能性があります。
どのくらい変わるかは、世帯の人数や収入、家賃、住んでいる地域によって違います。政府は、収入の少ない世帯への影響をできるだけ小さくするように計算式を変えるとしていますが、具体的な金額は、法律が決まってから住宅手当の窓口で確認するのが確実です。
連邦参議院は批判
各州の代表でつくる連邦参議院は、手続きを簡単にすることは評価しつつ、引き上げの見送りと暖房費の分の削減は、収入の少ない世帯の負担を軽くする効果を弱めると批判しました。住宅手当の事務を担う市町村の負担を、国が十分に補うことも求めています(連邦議会:連邦政府が住宅手当を見直し)。
これに対して政府は、社会的な負担はできるだけ小さく抑えるとしています(同上)。
まだ決定ではない:今後の流れ
連邦議会は2026年10月に、この法案の最初の審議(第1読会)を行いました(連邦議会)。この法律は、連邦議会での議決に加えて、連邦参議院の同意が必要です(連邦議会:審議の経過)。連邦参議院が批判的な立場をとっているため、内容が修正される可能性もあります。
住宅手当を受け取っている人・申請を考えている人へ
- 申請は今まで通りできる:法律が変わっても、住宅手当そのものがなくなるわけではありません。家賃の負担が重いと感じたら、市町村の窓口で受け取れるか確認してみましょう。
- 更新の時期を確認:住宅手当は、ふつう決まった期間ごとに支給されます。支給期間の終わりが近い場合は、早めに次の申請を出すのが大切です。
- 滞在許可との関係は窓口で確認:外国籍の人も、条件を満たせば住宅手当を申請できます。ただし、滞在許可の更新のときに生活費をどのように示すかなど、気になる点は外国人局(Ausländerbehörde)に確認すると安心です。
- 家賃のルールの変更もチェック:家具付き物件や短期の賃貸のルールを見直す改正案も審議されています。「家具付き・短期・インデックス賃貸のルールが変わる?」もあわせてどうぞ。
参考情報(2026年10月29日参照)
- 連邦議会:連邦政府が住宅手当を見直し(2026年10月5日)
- 連邦議会:住宅手当法の簡素化と改正(第1読会)
- 連邦議会印刷物 21/8284:政府案(PDF)
- 連邦議会:法案の審議の経過(DIP)
- 連邦住宅・都市開発・建設省:政府案(PDF)
本記事は2026年10月29日時点の公開情報をもとにした一般的な情報です。法案は審議中で、内容は変わる可能性があります。支給額などの個別の判断は、住んでいる市町村の住宅手当の窓口にご確認ください。