ドアに書かれた「20*C+M+B+27」とは?|1月6日の三賢王の日と、家々を回る子どもたち「シュテルンジンガー」
年が明けると、ドイツの家のドアの上にチョークで「20*C+M+B+27」と書かれているのを見かけます。三賢王の姿をした子どもたち「シュテルンジンガー」が残していく祝福のしるしです。C+M+Bの意味、1959年から続く子どもたちの募金活動、ケルン大聖堂の三賢王の聖遺物とのつながりを紹介します。
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ドアに書かれた「20*C+M+B+27」とは?|1月6日の三賢王の日と、家々を回る子どもたち「シュテルンジンガー」
年が明けてしばらくすると、ドイツの家のドアの上や玄関の柱に、チョークで「20*C+M+B+27」のような文字が書かれているのを見かけます。いたずら書きではありません。冠をかぶった子どもたちが家々を回り、残していく祝福のしるしです。
このコラムでは、ドイツで年末年始を過ごす方や、子どもが幼稚園や学校に通っている家庭に向けて、1月6日の「三賢王の日」と、家々を回る子どもたち「シュテルンジンガー(Sternsinger)」について紹介します。ドアの文字の意味、子どもたちが集めている募金の使い道、そしてケルン大聖堂との意外なつながりが分かれば、玄関のベルが鳴ったときに安心して迎えられるはずです。
1月6日は「三賢王の日」
1月6日は、キリスト教で「公現祭(Epiphanias)」と呼ばれる日です。ドイツでは「三賢王の日(Dreikönigstag)」とも呼ばれます。聖書には、東方から来た博士たちが、星に導かれて生まれたばかりのイエスを訪ね、贈り物をささげたという話があります。後の時代に、この博士たちは3人の王として描かれるようになり、カスパール、メルヒオール、バルタザールという名前で知られるようになりました。
1月6日は、バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州、ザクセン=アンハルト州では祝日ですが、NRWでは平日です。州ごとの祝日の違いは「ドイツの祝日は州ごとに違う?」で紹介しています。
家々を回る「シュテルンジンガー」
年末から1月にかけて、三賢王の姿をした子どもたちが、星の飾りを先頭に家々を回ります。これが「シュテルンジンガー(星の歌い手)」です。
子どもたちは玄関で歌や詩を披露し、その家に祝福のしるしを書き、世界の子どもたちのための募金を集めます。ドイツでの活動は、子ども宣教会(Kindermissionswerk „Die Sternsinger“)と、カトリック青年団体の連合会(BDKJ)が全国の窓口になっています(シュテルンジンガー)。
活動の期間は、12月27日から1月の第3金曜日までと決められています(シュテルンジンガー:2027年の活動の開幕)。全国の開幕式は、2026年12月29日にミュンスターで行われる予定です(同上)。
2015年、無形文化遺産に
ドイツ・ユネスコ委員会は、2015年12月、シュテルンジンゲンをドイツの無形文化遺産の一覧に加えました(ドイツ・ユネスコ委員会・シュテルンジンガー)。古い民間の習慣と、子どもたちによる助け合いの活動が結びついた点が評価されています。
ドアの「C+M+B」は何の意味?
子どもたちがドアの上に書いていく「20*C+M+B+27」。真ん中の「C+M+B」には、2つの読み方があります。
カトリック教会のポータルサイトによると、今の一般的な解釈は、ラテン語の祈りの言葉「Christus mansionem benedicat(キリストがこの家を祝福しますように)」の頭文字です。一方で、昔は三賢王の名前、カスパール(Caspar)、メルヒオール(Melchior)、バルタザール(Balthasar)の頭文字と考えられていました(katholisch.de:C+M+B)。
前と後ろの数字は、その年の西暦です。2027年なら、前に「20」、後ろに「27」と書きます。「+」の印は、キリストの十字架を表すとされます(katholisch.de:家の祝福の歴史)。このしるしは、1年間その家を守る祝福として、次の年まで消さずに残しておく家庭が多いようです。
子どもたちが集めた募金は、世界の子どもたちへ
シュテルンジンガーの活動は、「子どもが子どものために」行う募金活動でもあります。
シュテルンジンガーによると、2026年の活動では、全国で4,717万ユーロあまりが集まりました(2026年7月31日時点)。1959年に活動が始まってから集まった募金は、合わせて14億ユーロを超えています(シュテルンジンガー:2026年の募金結果)。募金は、世界の子どもたちの教育、栄養、健康、子どもを守る活動などに使われます。
2027年の活動のテーマは「よい食事、強い子どもたち」です。例として取り上げられる国はグアテマラで、栄養が足りない子どもたちの問題に光を当てています(シュテルンジンガー:2027年の活動の開幕)。
ケルン大聖堂と三賢王
三賢王は、ケルンととても深い関係があります。ケルン大聖堂には、三賢王の遺骨とされる聖遺物が納められているのです。
ケルン大聖堂によると、三賢王の聖遺物は1164年にミラノからケルンに運ばれ、これを納めるために、中世最大級の金の聖櫃が作られました(ケルン大聖堂:東方三博士の巡礼)。ケルンの市の紋章にある3つの冠も、三賢王を表しています。巨大なケルン大聖堂が建てられたのも、この聖遺物を目指して訪れる巡礼者を迎えるためでした。詳しくは「ケルン大聖堂は完成までに632年かかった?」で紹介しています。
シュテルンジンガーが家に来たら
- 歓迎するかどうかは自由:シュテルンジンガーは、事前にお知らせを配ったり、訪問を希望する家を募ったりする地域もあります。宗教に関係なく、多くの家庭が子どもたちを迎えています。
- 募金は任意:金額は決まっていません。子どもたちは、公式の募金缶やシールを持っています。
- ドアに書いてもらってよいか聞かれることも:賃貸住宅で、ドアに直接書くのが心配な場合は、シールを貼ってもらう方法もあります。
- 子どもが参加したいとき:地域の教会やカトリック青年団体が、参加する子どもを募集しています。宗派を問わず参加できるところもあります。
年末年始の静かな住宅街に響く、子どもたちの歌声。それは、何百年も続く冬の習慣と、世界の子どもたちへの思いやりが重なった音です。ドアに書かれた「C+M+B」を見かけたら、その家が1年間、温かい祝福に守られていることを思い出してみてください。
参考情報(2026年10月29日参照)
- シュテルンジンガー:シュテルンジンガーがやってくる
- シュテルンジンガー:2027年の活動の開幕
- シュテルンジンガー:2026年の募金結果
- シュテルンジンガー:シュテルンジンゲンは無形文化遺産
- ドイツ・ユネスコ委員会:シュテルンジンゲン
- katholisch.de:C+M+B
- katholisch.de:家の祝福の歴史
- ケルン大聖堂:東方三博士の巡礼
本記事は公開情報をもとにした文化紹介です。訪問の時期や方法は地域の教会や団体によって異なります。