クリスマスマーケットのグリューワインとは?|EUの法律で決まった「定義」と、ラベルに材料が書かれない理由
クリスマスマーケットの屋台で湯気を立てるグリューワイン(Glühwein)。実はEUの規則で、材料やアルコール度数が決まっています。シナモンやクローブで香りをつけること、アルコール7%以上、水を加えてはいけないこと、2026年の改正でロゼも使えるようになったこと、材料表示がない理由、子ども向けの飲み物の選び方までを紹介します。
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11月の終わり、クリスマスマーケットが始まると、広場にはシナモンとオレンジの甘い香りが漂います。その香りの正体が、温めたスパイス入りのワイン「グリューワイン(Glühwein)」です。寒い夜に、湯気の立つマグカップを両手で包んで飲むのは、ドイツの冬の楽しみの一つです。
このコラムでは、クリスマスマーケットを楽しみたい方や、スーパーでグリューワインを買ってみたい方に向けて、グリューワインがEUの規則でどのように決められているのか、ラベルに材料が書かれていない理由、そして子ども向けの飲み物の選び方を紹介します。何気なく飲んでいた1杯の、意外な決まりごとが見えてくるはずです。
「グリューワイン」はEUの規則で決まっている
「グリューワイン」という名前は、誰でも自由に使えるわけではありません。EUの規則(第251/2014号)は、香りをつけたワイン製品の種類と、その名前で売るための条件を決めています。グリューワインはそのうちの一つです(EU規則 第251/2014号)。
規則によると、グリューワインは次のような飲み物です。
- ワインだけから作る:材料のワインは、赤ワインか白ワインだけ。
- 主な香りはシナモンとクローブ:主にシナモン、クローブ(丁子)、またはその両方で香りをつける。
- アルコールは7%以上:実際のアルコール度数が7%以上あること。
- 水を加えてはいけない:規則で認められたわずかな例外を除き、水で薄めることは禁止。
白ワインで作ったものは、名前に「白(weiß)」など、白ワインを使ったことが分かる言葉を加えなければなりません(同上)。スーパーで「Glühwein weiß」と書かれたボトルを見かけたら、白ワインのグリューワインです。
2026年の改正で、ロゼもOKに
2026年2月には、ワインに関するEUの規則がまとめて改正されました(EU規則 第2026/471号、2026年3月18日発効)。この改正で、グリューワインの定義が見直され、赤・白に加えてロゼワインや、これらを組み合わせたワインからも作れるようになりました。ロゼを使った場合は、そのことをラベルに書く必要があります(EU規則 第2026/471号)。
同じ改正では、アルコールを抜いたワインを使った製品の名前についてのルールも整えられています。新しい表示のルールの一部は、段階的に適用される予定です(同上)。
ラベルに材料が書かれていない理由
スーパーでグリューワインのボトルを手に取ると、ジュースやお菓子と違って、材料の一覧(原材料名)が書かれていないことに気づくかもしれません。
消費者センターによると、これはEUの食品表示の規則で、アルコール度数が1.2%を超える飲み物(ビールを除く)は、材料の一覧を書かなくてもよいとされているためです(Lebensmittelklarheit:グリューワインの材料表示)。ブレーメンの消費者センターが調べた12本のグリューワインのうち、材料の一覧が書かれていたのは2本だけでした(Lebensmittelklarheit:調査)。
意外と多い砂糖
グリューワインには、甘みをつけるために砂糖が加えられることが多くあります。消費者センターの調査では、調べたグリューワインの糖分は、100ミリリットルあたり7.5〜9.5グラムでした(同上)。クリスマスマーケットのマグカップ1杯(200〜250ミリリットル程度)なら、15グラム以上の糖分をとる計算になります。
甘さを控えたい人は、自分で作るのも一つの方法です。赤ワインを鍋に入れ、シナモンスティック、クローブ、オレンジの皮などを加えて、沸騰させないように弱火で温めます。砂糖やはちみつの量を自分で調整できます。
子どもには「0.0%」の飲み物を
クリスマスマーケットには、子ども向けの温かい飲み物「キンダープンシュ(Kinderpunsch)」もあります。果物のジュースにスパイスを加えて温めたもので、アルコールは入っていません。
一方で、スーパーで売られている「アルコールフリー(alkoholfrei)」のグリューワインなどには注意が必要です。消費者センターによると、「alkoholfrei」と書かれた飲み物にも、ごくわずかなアルコールが含まれていることがあります。子どもに飲ませるなら、確実にアルコールが入っていない「0.0%」と書かれたものを選ぶよう勧めています(消費者センター:食品に隠れたアルコール)。
クリスマスマーケットで楽しむヒント
- マグカップにはデポジットがある:多くのマーケットでは、飲み物の代金に加えて、マグカップのデポジット(Pfand)を払います。カップを返すとお金が戻り、持ち帰ってそのまま記念にすることもできます。マーケットごとにデザインが違うので、集めるのを楽しみにしている人もいます。
- 温かいうちに、ゆっくり:温かいお酒は、冷たいお酒より酔いが回りやすいと感じる人もいます。空腹で何杯も飲まず、焼きソーセージや焼き栗などと一緒に楽しみましょう。
- 飲んだら運転しない:グリューワインのアルコールは7%以上で、ビールより強いことも多くあります。車や自転車で来た場合は、キンダープンシュなどにしましょう。
- 年齢にも注意:ドイツでは、ワインは16歳から飲めます。蒸留酒を加えた飲み物(ラム酒を加えたものなど)は18歳からです。お酒の年齢のルールは「ドイツの「ビール純粋令」とは?」でも紹介しています。
デュッセルドルフのクリスマスマーケットは「デュッセルドルフのクリスマスマーケット2026」で、ドイツワインの産地は「ドイツワインは「白」の国?」で紹介しています。寒い夜、シナモンの香りの1杯を手に、ドイツの冬の広場を歩いてみてください。
参考情報(2026年10月29日参照)
- EU規則 第251/2014号(香りをつけたワイン製品)
- EU規則 第2026/471号(ワイン関連規則の改正)
- EU法の要約:香りをつけたワイン製品
- Lebensmittelklarheit:グリューワインに材料の一覧がない理由
- Lebensmittelklarheit:グリューワインの材料と表示の調査
- 消費者センター:食品に隠れたアルコール
本記事は公開情報をもとにした一般的な情報です。お酒は法律で認められた年齢になってから、適量を楽しんでください。飲んだら運転しないでください。