雪が降った朝、ドイツの住宅街では、まだ暗いうちから「シャッ、シャッ」とスコップの音が聞こえてきます。家の前の歩道の雪かきは、町の仕事ではなく、その建物の側の仕事だからです。

このコラムでは、ドイツで暮らす方、特に部屋を借りている方に向けて、冬の雪かきと凍結対策のルールを紹介します。誰の役目なのか、何時までに、どのくらいの幅を、何を使って掃除すればよいのか。ケルンとデュッセルドルフの決まりを例に整理します。初めての冬を迎える前に確認しておけば、雪の朝に慌てずに済むはずです。

原則は「建物の持ち主」の役目

ドイツの多くの町では、建物の前の歩道の雪かきと滑り止めは、町の条例で建物の持ち主(家主)の役目と決められています。

ケルン市によると、歩道の雪かきは原則として建物の持ち主の仕事です。持ち主はこの仕事を借りている人に任せることもできますが、歩道の状態についての最終的な責任は持ち主に残ります(ケルン市)。デュッセルドルフ市も、持ち主が賃貸契約や管理会社への依頼などで、この仕事を任せられるとしています(デュッセルドルフ市:案内)。

借りている人は雪かきをしなければならない?

ここが、部屋を借りている人にとって一番気になるところです。

ドイツ借家人連盟によると、借りている人が雪かきをしなければならないのは、賃貸契約でそう決められている場合です。建物の決まり(Hausordnung)に書いてあるだけでは足りないとしています。また、「1階に住んでいる人がやるもの」という決まりもありません(ドイツ借家人連盟)。

実際には、大きな集合住宅の多くは、管理会社や清掃業者(Hausmeisterdienst)が雪かきをしていて、その費用は共益費(Nebenkosten)に含まれています。一方、小さな建物では、住んでいる人が順番に雪かきをする「当番表」が階段に貼られていることもあります。

まずは、賃貸契約書と、建物の管理会社からの案内を確認しましょう。分からなければ、家主や管理会社に「冬の雪かきは誰がしますか」と聞いておくと安心です。

歩道の雪かきは原則として建物の持ち主の役目で、賃貸契約で借りている人に任されている場合もあり、多くの集合住宅では管理会社や清掃業者が行い費用は共益費に含まれることを示した図
図解:J-Connect。ケルン市、デュッセルドルフ市、ドイツ借家人連盟の資料に基づく(2026年10月29日参照)。

何時までに? どのくらいの幅を?

時間と幅のルールは、町の条例で決まっています。デュッセルドルフ市の例は次のとおりです(デュッセルドルフ市)。

この表は横にスクロールできます。表にフォーカスした後、左右の矢印キーでも内容を確認できます。

項目デュッセルドルフ市の決まり
平日朝7時から夜20時まで
日曜・祝日朝9時から夜20時まで
掃除する幅少なくとも1メートル
塩歩道では原則として使えない

ケルン市も、歩道は平日は朝7時まで、日曜・祝日は朝9時までに雪かきを済ませること、夜20時を過ぎて降った雪は翌朝に対応すればよいことを案内しています(ケルン市)。

雪が降り続く日は、1回掃除すれば終わりではありません。決められた時間の中で、滑りやすくなるたびに、くり返し対応する必要があります。

塩は使わず、砂や砂利を

日本では融雪剤として塩をまくこともありますが、ケルン市もデュッセルドルフ市も、歩道で塩を使うことは原則として禁止しています(ケルン市・デュッセルドルフ市)。塩は、街路樹や土、犬の足を傷めるためです。

代わりに、ホームセンターやスーパーで売っている砂や細かい砂利(Streugut、Splitt)を使います。冬が来る前に、1袋用意しておくと安心です。

雪かきの時間は平日は朝7時から夜20時、日曜・祝日は朝9時から夜20時、幅は少なくとも1メートル、歩道では塩を使わず砂や砂利を使うことを示した図
図解:J-Connect。デュッセルドルフ市とケルン市の資料に基づく(2026年10月29日参照)。

雪かきの当番なのに、休暇で家にいないときは?

雪かきを任されている人が、旅行や一時帰国で家を空けるときは、代わりの人を自分で手配する必要があります。隣の人に頼んだり、清掃業者に依頼したりする方法があります。誰も雪かきをしていない歩道で人が転んでけがをすると、雪かきの役目を負う人が責任を問われることがあるためです。

冬の前にできること

  1. 賃貸契約書で「Winterdienst」「Schneeräumen」の文字を探す:雪かきが借りる人の役目かどうかが分かります。
  2. 雪かき用のスコップと、砂や砂利を用意する:雪の降った朝に買いに行くと、売り切れていることもあります。
  3. 当番表がある建物では、順番を確認する:休暇の予定がある場合は、早めに交代を相談しましょう。
  4. 自分の足元にも注意:凍った歩道では、滑りにくい靴を選びましょう。

ドイツの冬の住まいの過ごし方は「ドイツの冬のカビ・結露対策」でも紹介しています。

参考情報(2026年10月29日参照)

本記事は公開情報をもとにした一般的な情報で、法律相談ではありません。雪かきの時間や範囲は町ごとの条例で異なります。お住まいの町の決まりと、賃貸契約の内容をご確認ください。

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